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<速報>2019年度 税制改正大綱の概要について

2018/12/20

Ⅰ. はじめに
2018年12月14日、自民党・公明党により2019年度税制改正大綱が発表されました。
基本的な考え方としては、2019年10月の消費税率10%への引上げを控え、増税後も現在の雇用・所得環境の回復基調を持続させ、デフレ脱却・経済再生を確実なものとするために、企業が収益の拡大を賃金上昇・雇用拡大や設備投資の増加につなげることが重要であるとの考え方に基づき、改正においてもこれらを後押しする制度を織り込んでいます。
本稿では、今回の税制改正大綱のうち大企業及び投資法人・特定目的会社(以下、「TMK」とする。)に影響が大きいと考えられる項目について、概要を説明します。なお、大綱については、今後の国会における法案審議の過程において、一部項目の修正・削除・追加などが行われる可能性があることにご留意ください。
 
Ⅱ. 大企業
 
Ⅱ-1. 中小企業向けの各租税特別措置等におけるみなし大企業の範囲の見直し
租税特別措置法の各種措置の適用が受けられる「中小企業者」の判定について、大規模法人の範囲に下記の法人が加えられます。
①大法人の100%子法人
②100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人
 
Ⅱ-2.研究開発税制の見直し
試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率に変更が加えられ、また試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税額の上限の上乗せ特例について、改組した上、その適用期限が2年延長されました。
 
Ⅱ-3.過大支払利子税制の見直し
過大支払利子税制についても見直しが行われますが、主な見直しとしては、損金不算入の対象範囲が、現行、その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の50%を超える場合のその超える部分の金額とされているものが20%を超える部分の金額とされます。また、適用免除基準が、現行、「その事業年度における関連者支払利子等の額の合計額が総支払利子等の額の50%以下である」とされている要件が廃止され、新たに、その事業年度における対象純支払利子等の額が2,000万円以下(現行1,000万円以下)である場合、その他一定の場合には、本税制を適用しないこととされます。
 
Ⅱ-4.移転価格税制の見直し
移転価格税制について、比較対象取引が特定できない無形資産取引等に対する独立企業間価格の算定方法としてDCF法が加えられます。また、評価困難な無形資産に係る取引(特定無形資産取引)について特定無形資産取引に係る独立企業間価格の算定にあたり、税務署長は、一定の条件のもと当該取引に係る最適な価格算定方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができることとされました。
 
Ⅱ-5.外国子会社合算税制(タックスヘイブン税制)の見直し
外国子会社合算税制について、配当所得の二重課税排除の観点から、下記の会社をペーパーカンパニーの範囲から除外することとされました。
①持株会社である一定の外国関係会社②不動産保有に係る一定の外国関係会社
③資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社
 
Ⅱ-6.組織再編税制の見直し
組織再編税制について、株式交換等の後に株式交換等完全親法人を被合併法人とし、株式交換等完全子法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、その株式交換等に係る適格要件のうち支配関係継続要件等について、その適格合併の直前の時までの関係により判定すること、及び、合併、分割及び株式交換に係る適格要件等のうち、対価に関する要件について、現行対象となっている合併法人等の親法人の株式に合併法人等の発行済株式の全部を間接に保有する関係がある法人の株式が加えられます。
 
Ⅲ.投資法人・TMK
Ⅲ-1.投資法人、TMKが不動産を取得する場合等の登録免許税、不動産取得税に関する軽減措置延長
投資法人、TMKが不動産を取得する場合等に課せられる登録免許税、不動産取得税に関する軽減措置が延長され、それぞれ下記表の算式により税額が計算されます。
 
【登録免許税】

 
 
 

【不動産取得税】

 

 

 

 

(*)投資法人については大綱で明記されていません。
 
Ⅲ-2.投資法人に係る課税の特例要件(導管性要件)の見直し
投資法人に係る課税の特例により、一定の要件(導管制要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金の算入することが認められており、この導管制要件のうち「投資法人が他の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有していないこと」について下記のとおり見直されました。
 
① 他の法人の出資に匿名組合出資を含める
② 匿名組合を通じて間接的に有する株式等を合算
(その保有株式等に匿名組合出資割合を乗じて算出する。)して判定する。
 
Ⅲ-3.投資法人、TMKの利益の配当等に係る二重課税調整に関する措置
2018年度税制改正を受けて、投資法人の投資口に係る配当等について支払の取扱者である証券会社等が源泉徴収する所得税の額から控除する外国法人税の額は、その外国法人税の額のうち、その支払に係る利益の配当の額に対応する部分の額を限度として、その支払を受ける者ごとに計算した金額の合計額とすることとされました。
 
これはTMKの利益の配当等に係る源泉徴収等の特例についても同様の措置が講じられ、その他所要の措置も講じられます。
その他投資法人、TMKに関連する税制改正項目として、過大支払利子税制の見直し、外国子会社合算税制の見直しが入っています。
 
また、一般社団法人不動産証券化協会から提出されていた税制改正要望事項のうち、下記のものについては今回の税制改正大綱には入れられず、該当する投資法人においては、導管性要件について未だ課題が残ることとなりました。
 
① 任意積立金や買換特例圧縮積立金を計上している投資法人が税会不一致による二重課税を解消するため利益超過分配を行う場合、当該積立金の全額を取り崩さなければ導管性要件を満たせなくなります。
② 金利スワップ取引につき繰延ヘッジ処理を適用し純資産の部に「正の評価換算差額等」が計上されている投資法人が当期未処分利益に当該評価換算差額等を加えて利益超過分配を行う場合、翌期以降に課税が生じ、導管性要件を満たせなくなる可能性があります。
 
Ⅳ.セミナーの開催について
2019年2月に税制改正セミナーを実施いたします。日程等の詳細はHPにてお知らせします。
 
以上が簡単な概要となります。実務上の不明事項や疑問点等御座いましたら当グループまで是非お問い合わせください。

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
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