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<ナレッジ>Vol. 1 経理業務の高度化について

2018/04/02

【人材不足と生産性向上の時代】

 少子高齢化による労働力人口の減少などを背景として、企業における人材不足が慢性化しているように感じられる。一方で長時間労働は社会問題となり、いわゆる働き方改革の推進をはじめとして、生産性の向上は企業にとって目の前の課題となっている。当然のことだが、働き方改革が単なる長時間労働の削減にとどまっては経済の縮小につながる。重要なことは生産性の向上である。

国際労働機関(ILO)の調査によると、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、世界ワースト2位の長時間労働大国とされている。また、公益財団法人日本生産性本部によると、日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟35カ国中20位とされている。

経理部門は、いわゆるバックオフィスであり、コストセンターと捉えられることもある。それとも関連して、人材確保がより難しい部門であるという話も聞くことがある。

人材不足、長時間労働を是正する観点からすると、まず外部リソースを活用する選択肢が考えられる。派遣社員、アルバイト、アウトソーシングの活用は古くから行われていて、リソース不足の時期を乗り切るために有効な一時的手段として活用されているケースが多数見受けられる。

生産性の向上の観点からすると、外部リソースを活用して人材不足を補うのみでは進展がない。経理部門は事務処理をより効率的に、高品質に行い、それだけではなく、会社経営の前進に有用な情報を提供する、戦略部門となっていくことが求められる。

 

【経理部門の効率化と品質向上】

 経理部門の生産性向上を実現するにあたり、大きく3つ、あわせて意識すべき点が挙げられる。

一つ目は、既存業務の効率性である。経理業務には法令等で求められるものをはじめとして、定型的業務が多く含まれている。既存の社内フォーマットを見直すだけでも、業務効率がだいぶ改善されるケースが多くみられる。さらには、全社的にデジタルトランスフォーメーションに取り組み始めることも考えられる。デジタル化の機運は高まりつつあるものの、具体的な施策を打ち出せない状況にあれば、強いリーダーシップが必要となるが、まず経理部門において、経営企画部門などと連携して業務効率化のためのデジタル化施策を実行し始めることも有効であると考えられる。

二つ目は、業務の標準化である。企業において経営人材を育成していくにあたり、ジョブローテーションが必要となる。経緯部門は常に知識を身につけた人材のみが担当するわけではなく、誰でもある程度業務を理解し実行できる状況を整える必要がある。また、経理は業務が属人化しやすい部門でもあり、リスク管理上も問題となる。あまりに冗長なマニュアルは業務効率を阻害するが、業務を単純化したうえで、必要なプロセスを整備しておくことが求められる。

三つ目は、リスク管理の高度化である。経理部門は各種法令に基づき内部統制システムの構築と密接な関係にある。特に、いわゆるJ-SOX制度が開始して以降、形式的にも求められるものが増え、一時は経理部門の負担となっていた。最近はJ-SOXに関連する業務についてはすっかり落ち着きをみせ、内部統制を担う側も監査する側も、過去に構築した内部統制をスムーズに確認できる状況が続いているように見受けられることもある。業務効率と品質向上を考察する機会に、内部統制を今一度見直す必要がある。内部統制報告制度の対応が形式的になっている場合、リスク管理の高度化と業務効率化は、二律背反ではなく、同時に実現できるケースがほとんどである。本当に必要な統制と形式的で無駄な統制を峻別することで、内部統制の実効性と業務効率を同時に実現することができる。

 

以上、経理業務の高度化にかかる当グループの見解です。
実務上の不明事項や疑問点等御座いましたら、当グループまでお問い合わせください。

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
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