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<ナレッジ>Vol.8 IFRS第16号リース会計の導入

2018/11/02

1.はじめに
IFRS適用会社がリース取引を行っている場合、2019年1月1日以降に開始する事業年度からその会計処理が大きく変化します。2016年に、新リース会計について規定するIFRS第16号(以下、新基準)が公表されました。
この背景として、現行の会計処理が問題視されていた点があげられます。具体的には、従来のリース基準であるIAS第17号では借手企業において資産・負債がオフバランスされることが多く、注記開示のみの未払リース料が多額になり財務諸表利用者から問題視されていた点、また、数値基準を採用している米国基準や日本基準ではそれをわずかに下回る契約を締結することによってオンバランスを回避し、実態に即さない会計処理が行われていた点などです。そこでIASBとFASBの共同プロジェクトによりIFRSのリース基準新設に至りました。
 
新基準の適用が迫っている中、今回改めて制度の確認をして頂きたいと思います。
 
2.制度の概要(借手の会計処理)
従来のIAS第17号や日本基準のリース会計基準とは考え方が大きく異なり、新基準の適用が財務情報に与える影響を慎重に検討する必要があります。
日本基準では、契約や条件に基づいてファイナンス・リース(以下、FL)、オペレーティング・リース(以下、OL)と大きく分類されます。この点、新基準はFLとOLの区別をなくし、殆どのリース取引に関して資産及び負債を認識することとし、単一のオンバランスモデルを採用しています。新基準でのリース取引の定義は、「資産を使用する権利を一定期間にわたり、対価と交換に移転する契約又は契約の一部」とされています。つまり、お金を支払って、資産をある期間にわたって使用するような取引は、例外処理[3. 例外処理(借手の会計処理)参照]を除いてリース取引として扱われます。これは日本基準において、OLとして即時に費用処理されるようなレンタルや、不動産の賃貸借取引もリース取引に該当することになる可能性があります。
 
新基準は、原則として全てのリース取引につき使用権資産(資産)とリース料支払い債務(負債)を計上しなければならないという使用権モデルの考え方に基づいています。すなわち、OLとして今までオフバランスしていたものをオンバランスしなければならない可能性があり、資産(使用権資産)と負債(リース料支払い債務)の増加が予想されます。オフバランスしていたリース取引に関してもFLと同じ量の情報が必要とされ、一括管理していない場合には会社全体としてリース取引がどれだけ存在するのかを改めて把握する必要があります。具体的には、リース取引に該当することになるレンタルや不動産賃貸借取引も資産として計上され、その相手勘定として債務が計上されるため、貸借対照表の資産・負債が急激に増加します。多くの店舗を運営する企業は店舗自体の賃貸借取引も資産として認識しなければならず、各店舗の賃貸借契約状況の可視化が求められます。新たにオンバランスすることになった場合、財務指標(ROA等)が低下することが懸念されます。一方で、損益計算書は営業費用に組み込まれていたOLの費用が使用権資産の減価償却費として計上されるため、EBITDAが増加し、OLに係る減価償却費や利息が新たに計上されます。
 
3.例外処理(借手の会計処理)
新基準の導入は実務上の負担増加が懸念されますが、新基準はそれを考慮して例外処理が設けられています。
具体的には、対象資産が少額資産(「少額」の基準は明確に定義されていないため、各企業において定めることが求められます)又は期間が1年未満(短期リース)といったリース取引である場合、IAS第17号(OL)に基づいて処理することが認められています。
ただし、例外処理をとった場合にも新基準では少額資産、短期リースの金額を注記することが求められます。
 
4.貸手の会計処理
貸手の処理は、貸手自身の収益取引としての側面を重視することとし、従来のIAS第17号の処理がほぼ踏襲されることとなりました。すなわち今回の新基準導入による重要な変更はみられません。
 
5.さいごに
以上が簡単な概要となります。IFRS第16号の導入による実務の負担は少なくありません。影響検討、実務整理等につきましてご不明な点や疑問点等御座いましたら、当グループまでお問合せください。

以上

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
https://heiseikaikeisha.com E-mail: info@hsk-tax.com