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<ナレッジ>Vol.6 仮想通貨の会計処理等に関する取扱い

2018/09/06

1. はじめに
2018年3月14日に企業会計基準委員会(ASBJ)より、実務対応報告38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」が公表され、2018年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されています。これにより仮想通貨の会計処理及び開示に関して、当面必要と考えられる最小限の項目について実務上の取扱いが明確化されています。以下の項目ではこの報告の概要を説明致します。
 
2. 仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が保有する仮想通貨の会計処理
期末における仮想通貨の評価については、活発な市場が存在するかどうかで会計処理が異なります。この“活発な市場”については、仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者の保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は販売所において十分な数量・頻度で取引が行なわれているかどうかで判断されます。
活発な市場が存在する場合、市場価格に基づく価額をもって当該仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理します。市場価格として仮想通貨取引所又は販売所の取引価額を用いる場合は、保有する仮想通貨の種類ごとに、通常使用する自己の取引実績の最も大きい仮想通貨取引所又は販売所における取引価額を用います。活発な市場が存在しない仮想通貨が、その後、活発な市場が存在する仮想通貨となった場合、期末評価は活発な市場が存在する仮想通貨として行なうこととなります。
 
活発な市場が存在しない場合、取得原価が貸借対照表価額となります。ただし、期末における処分見込価額が取得原価を下回る場合はこの処分見込価額を貸借対照表価額とし、その差額は当期の損失として処理します。この損失については、翌期において戻入れの処理は行ないません。活発な市場が存在する仮想通貨が、その後、活発な市場が存在しない仮想通貨となった場合には、活発な市場が存在しない仮想通貨となる直前に観察された市場価格に基づく価額をもって取得価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。
 
3. 仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨の会計処理
仮想通貨交換業者は、預託者との預託の合意に基づいて仮想通貨を預かった時に、その預かった仮想通貨を資産として認識し、同時に預託者への返還義務を負債として認識する必要があります。この際、当初認識時の帳簿価額は資産及び負債共に資産の預かった時の時価により算定します。預託者から預かった仮想通貨に係る資産及び負債の期末帳簿価額は、自己が保有する仮想通貨から簿価分離した上で、活発な市場が存在するかどうかの分類に応じ、自己が保有する仮想通貨と同様の方法により評価を行ないます。自己が保有する仮想通貨と異なり、預託者から預かった仮想通貨に係る資産及び負債の期末評価からは損益を計上しません。
 
4. 開示
仮想通貨の売却取引を行なう場合、売却収入から売却原価を控除して算定した純額を損益計算書に表示する必要があります。また、自己が期末日において保有する仮想通貨と、仮想通貨交換業者が預託者から預かっている仮想通貨について、次の事項を注記する必要があります。
①自己が期末日において保有する仮想通貨の貸借対照表額の合計額
②仮想通貨交換業者が預託者から預かっている仮想通貨の貸借対照表額の合計額
③自己が期末日において保有する仮想通貨について、活発な市場が存在する仮想通貨と活発な市場が存在しない仮想通貨の別に、仮想通貨の種類ごとの保有数量及び貸借対照表額(貸借対照表額が僅少な仮想通貨については集約記載可)
ただし、自己が期末日時点で保有する仮想通貨と預託者から預かっている仮想通貨の貸借対照表額の合計額が資産総額に比して重要でない場合、注記を省略することができます。
 
5. さいごに
以上が簡単な概要となります。仮想通貨の市場は急成長を遂げており、仮想通貨を日常的に業務で取り扱う状況が近い将来に現実のものとなる可能性があります。今回報告で明確化されたのは最小限の項目についての当面の取扱いであり、今後も検討・対応する項目が多く出てくると予想されます。

 

不明事項や疑問点等御座いましたら、当グループまで是非お問い合わせください。

以上

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
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