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<ナレッジ>Vol.5 「生産性革命」の実現に向けた税制措置

2018/08/02

1.はじめに
昨年末、「平成30年度税制改正大綱」が閣議決定され、平成30年度も早4ヶ月が経過しました。
上場企業各社の第1四半期開示も行われ始めている中で、今回の税制改正の基本的な考え方は、
①経済の成長軌道を確かなものとするための「生産性革命」と「人づくり革命」を断行すること
②生産性を押し上げ賃上げの勢いを加速し、デフレ脱却を確実なものとすることとされています。
また、今回の改正においては「生産性革命」、「人づくり革命」断行のために経営判断に働きかける意図をもって、賃上げや投資に消極的な大企業について租税特別措置の適用を制限するものもあります。ここで改めて「デフレ脱却・経済再生」で掲げられている「生産性革命」の実現に向けた税制措置につきまして、簡単な概要説明をさせて頂きますので、第2四半期以降、下期に向けてご参考になりますと幸いです。
 
2.所得拡大促進税制の改組
まず一つ目の税制措置として、所得拡大促進税制の改組があります。近年、企業収益が好調に推移する中で、企業収益を設備投資、人材投資へと振り向けることで生産性の向上と賃金の上昇を促し、経済の好循環を図ることが経済の持続的成長にとって重要となります。そのため、企業が自主的に賃上げを実施する環境整備を行う観点から今回の税制措置が盛り込まれています。(詳細は大企業・連結ニュースレターVol.3 「所得拡大促進税制について」参照。)
 
3.情報連携投資等の促進に係る税制の創設
二つ目の税制措置として、情報連携投資等の促進に係る税制があります。この税制は生産性の向上を図ることを目的に創設されました。一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組について、それに必要となるシステムや、センサー・ロボット等の導入に対して、特別償却30%又は税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)の措置となります。この措置は、事業者が当該取組内容に関する事業計画を作成し、主務大臣が認定した計画に含まれる設備に対して適用となります。計画認定の要件として
①データ連携・利活用の内容
②セキュリティ面
③生産性向上目標が挙げられています。
 
①は、社外データやこれまで取得したことのないデータを社内データと連携しているか、企業の競争力における重要データをグループ企業間や事業所間で連携しているかを指しております。
②は、必要なセキュリティ対策が講じられていることをセキュリティの専門家(登録セキスペ等)が担保することを指しております。
③は、投資年度から一定期間において、労働生産性が年平均伸率2%以上かつ投資利益率が年平均15%以上の達成見込みがあることを指しております。
 
4.租税特別措置の適用要件の見直し
最後に税額控除の適用要件の見直しについてです。この見直しは、利益が上がっているにも関わらず、明らかに賃上げ・投資に消極的な大企業に対し、果断な経営判断を促すため税額控除の適用を制限するものとなります。適用要件は①大企業の所得金額が前事業年度の所得金額を上回ること、②その大企業の平均給与等支給額が、比較平均給与等支給額以下であること、③その大企業の国内設備投資額が、当期の減価償却費の総額の1割以下に留まることが挙げられています。これら3つの要件全てに該当する場合、生産性の向上に資する租税特別措置(Ⓐ試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)Ⓑ地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)Ⓒ情報連携投資等の促進に係る税制(前述3.))が適用されないことになります。
 
5.さいごに
以上が簡単な概要となります。今回の税制改正は、各企業において、設備投資や人材投資等の意思決定に大きな影響を与えることが想定されます。また従来は適用可能であった租税特別措置が適用要件の変更等により適用が制限され当初の計画等の想定から乖離する可能性も考えられます。意思決定にあたっては、事前に各税制の適用要件や要件充足のために必要な手続きを正しく理解することが必要になります。
 
影響検討、実務整理、個別の会計・税務処理等につきましての実務上の不明事項や疑問点等御座いましたら弊税理士法人まで是非お問い合わせください。

以上

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
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