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<ナレッジ>Vol.12 時価の算定に関する会計基準(案)

2019/04/04

1. はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)より、2019年1月18日に「時価の算定に関する会計基準(案)」(以下「時価基準(案)」という。)及び「時価の算定に関する会計基準の適用指針(案)」が公表されました。

「時価基準(案)」開発にあたっての基本的な方針として、国内外企業間の財務諸表の比較可能性を向上させることを目的として、国際財務報告基準第13号(公正価値測定)の定めを基本的にすべて取り入れることとしています。ただし、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対するその他の取扱いを定めたり、「公正価値」と言う用語ではなく「時価」と言う用語を用いたりしています。以下で、「時価基準(案)」の概要説明を行います。

 
2. 範囲

「時価基準(案)」は、次の項目の時価に適用することが提案されています。

・企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)

における金融商品

・企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」におけるトレーディング目的で保有

する棚卸資産

 
3. 時価の定義

「時価」とは、算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格をいいます。

また、時価は、直接観察可能であるかどうかにかかわらず、算定日における市場参加者間の秩序ある取引が行われると想定した場合の出口価格(資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格)であるとの考え方が示されています。

 
4. 時価の算定方法

時価の算定にあたっては、状況に応じて、十分なデータが利用できる評価技法(例:マーケット・アプローチ、インカムアプローチ等)を用い、評価技法を用いるにあたっては、関連性のある観察可能なインプット(入手観察可能な市場データ)を最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にします。インプットとは、市場参加者が資産又は負債の時価を算定する際に用いる仮定(時価の算定に固有のリスクに関する仮定を含む。)をいい、相場価格を調整せずに時価として用いる場合における当該相場価格も含まれます。

時価の算定に用いるインプットは、次の順に優先的に使用する(レベル1のインプットが最も優先順位が高く、レベル3のインプットが最も優先順位が低い)こととされています。

 

① レベル1のインプット

レベル1のインプットとは、時価の算定日において、企業が入手できる活発な市場における同

一の資産又は負債に関する相場価格であり調整されていないものをいいます。

 

② レベル2のインプット

レベル2のインプットとは、資産又は負債について直接又は間接的に観察可能なインプットの

うち、レベル1のインプット以外のインプットをいいます。

 

③ レベル3のインプット

レベル3のインプットとは、資産又は負債について観察できないインプットをいいます。当該

インプットは、関連性のある観察可能なインプットが入手できない場合に用います。

上記のインプットを用いて算定した時価は、その算定において重要な影響を与えるインプッ

トが属するレベルに応じて分類されます。なお、時価を算定するために異なるレベルに区分さ

れる複数のインプットを用いており、これらのインプットに、時価の算定に重要な影響を与え

るインプットが複数含まれる場合、これら重要な影響を与えるインプットが属するレベルのう

ち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに当該時価を分類します。

 
5. さいごに

以上が簡単な概要となります。今回の「時価基準(案)」では、時価の定義の見直しに伴って、従来「金融商品会計基準」において使用可能とされていた「期末前1ヵ月平均市場価格」を用いることができると言う定めの削除や、「時価基準(案)」では、時価を把握することが極めて困難な状況が想定されていないことから「時価を把握することが極めて困難」な有価証券等と言う定めが削除される等、従来からの取扱いが変更になっている項目も存在します。

ご不明な点、疑問点や追加で詳細にご確認されたい項目ございましたら、当社までお問い合わせください。

以上

 

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
https://heiseikaikeisha.com E-mail: info@hsk-tax.com