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<ナレッジ>Vol.11 みなし大企業の範囲の見直しについて

2019/03/05

1. はじめに

法人税では中小企業に対してさまざまな優遇制度が設けられていますが、適用を検討するにあたっては税務上の「中小法人等」と「中小企業者等」の範囲を確認する事が重要であり、それぞれ優遇制度が異なってきます。2019年度の税制改正大綱では、後者の「中小企業者等」の範囲の見直しが提起されましたので、今回は「中小法人等」と「中小企業者等」の違い及び「みなし大企業」ついて説明をしていきます。

 
2. 概要

法人税法上の「中小法人等」とは、法人税法57条に規定されており、要約しますと、普通法人で資本金又は出資金の額が1億円以下であり、大法人(*1)による完全支配関係がない普通法人等であり、かつ、100%グループ内の複数の大法人(*1)に発行済株式の全部を直接又は間接に保有されていない普通法人等、又は公益法人等又は協同組合等及び人格のない社団等になります。

(*1)資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人等

 

一方で、租税特別措置法上の「中小企業者」とは、資本又は出資を有する法人で以下の要件を満たす法人をいいます。(措法42の4、措令27の4)

資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法人のうち、その発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上が同一の大規模法人(*2)の所有に属している法人、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人、若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が千人以下の法人とする。

(*2)資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使

用する従業員の数が千人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除く。

 

上記のうちで特に中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するものが「中小企業者等」と定義されています。

要約すると中小企業者とは、資本金又は出資金が1億円以下であり、発行済株式の2分の1以上が同一の大規模法人に所有されていない、かつ、2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の3分の2以上を所有されていないもの、又は資本等を有しない法人のうち常時使用従業員数が1,000人以下の法人をいいます。上記に該当すると、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例等の優遇を受けることができます。

上述した通り、大企業の傘下にある場合には、資本金1億円以下の法人でも中小企業には該当しないとされており、これが「みなし大企業」とよばれています。

法人税法上の「みなし大企業」とは、資本金1億円以下であるが、大法人による完全支配関係がある法人、及び100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている法人をいいます。

租税特別措置法上の「みなし大企業」とは、資本金1億円以下であるが、発行済株式の2分の1以上が同一の大規模法人に所有されている法人、又は2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の3分の2以上を所有されている法人をいいます。

 
3. 改正内容

従前の租税特別措置法上の中小企業者等の中には、法人税法上の中小法人等に該当しない企業も一部含まれることから、中小企業関連税制が適正に受けられるよう、租税特別措置法上の「大規模法人」の範囲を拡大することが、今回の税制改正に盛り込まれました。

 

大規模法人に新たに追加される法人は以下になります。

・大法人の100%子法人

・100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人

このことによって租税特別措置法上のみなし大企業の範囲が拡大されることになります。なお、この改正の施行時期については、大綱に具体的な記載はありません。

 
4.  最後に

以上が簡単な概要となります。今回の税制改正大綱における中小企業者等の範囲の見直しにあたり、今まで「中小企業者等」であった法人が、みなし大企業に該当することで、優遇税制を受けられなくなる場合が発生するものと考えられます。中小企業者等の該当有無について、再度検討する必要が出てくるかと存じますので、検討に際しご不明な点や疑問点等御座いましたら、当グループまでお問合せください。

【お問合わせ先】税理士法人 平成会計社 / HSKコンサルティング株式会社
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